キラキラな日々の記録。byぴかりん

V6とキスマイを中心に観たもの感じたこと。

舞台「ABC座2016 株式会社応援屋!!OH&YEAH!!」 10/23, 2016

ABC-Zのファン、というわけでもない私が、この舞台行きたい!と思ったのは、脚本と音楽を西寺郷太さんが担当すると聞いたときだった。結果から言って、この「これは観なきゃ!」という直感は大大大大正解だったといえる。

 

西寺郷太さんと言えば、corin.さんとともに、V6に楽曲提供してくれていた方というのは(V6ファンの中ではたぶん)有名な方だ。keep oN.等の楽曲が与えてくれた「これまでのV6にない真新しさ」と、そこから感じる「変わることを恐れないV6」にはワクワクしたし、楽曲の制作にあたっても、メンバーの声質を踏まえて歌割りが考えられたというようなことを聞き感動したものだ。そして最近では、20周年のアニバコンでの39曲Synphonyの作成を手掛けていただいたことがV6ファンとして印象深い。39曲を40分に収めるという荒業だけでも大変だったであろうに、曲の終わりと曲のはじまりが上手に絡み合いそして次の曲に変わるミックス(言葉でうまく言えない)のセンスの良さはアイドルオタクでもわかるほどであったし、なによりV6や楽曲への愛情がなければできないそのメドレーの作成にV6ファンはただただ感銘を受けたのであった。

そんな西寺郷太さんがつくるステージ、絶対に面白いに違いない。そう思って友人に頼み、無事チケットを取ることができ当日に至る。

 

幕が上がった瞬間から、現れたのはキラキラのABC-Zだった。もう私はここで、「あ、これ好きなやつだ」と確信する(早い)。

テンポよく進んでいく話。若いころからゲーム開発などで才能を発揮してきたいしけん(はっしー)は、DEGITAL CORPSという会社を興して企業をつぶしてきたが、あるとき(後の応援屋の)社長と出会い、人生が変わる。そしてもっと人のためになることがしたいと「株式会社応援屋」のメンバーを集め始める。ざっくりそんな話。

 

驚いたことは複数あるが、いわゆる「ジャニーズ舞台」(わかる人にはわかる)とは一線を画すほどの劇や音楽のスタイリッシュさ。なんというか、オシャレなのである。それでいて「ジャニーズのアイドルの舞台」の枠内にある。

そして何より、観ていてすごく楽しかったのだ。以下、長くなったので印象的だったところを項目で。

 

(1)メンバー演じる役の絶妙さ。

とっつーは甲子園が大好きなローカルなコンビニ店員、河合さんは予備校講師(をクビになったばかり)、天才棋士・桂馬の五関さんに、五関さんにずっとあこがれて将棋を続けてきたが挫折して、ひきこもって筋トレとDJしてる「くりくり」ことつかちゃん。

 

この舞台は郷太さんがもともと持っていたストーリーに「当て書き」したと雑誌で読んでいたので、なるほど上手にえびのメンバーそれぞれのキャラクターを引き出すな、と感心した。特に天才棋士役の五関さんと、ちょっと変わった引きこもりの塚ちゃんへの役の当て方はもう天才かと思った。

五関くんは、普段感情をそんなに表に出さないイメージがあるけど、桂馬は口の悪いこともいうし、ヤケ酒もするしで、五関さんのニヒルな部分をクローズアップしてくれてかっこいい。しかも革ジャン着せるとか天才か。途中、心の葛藤を表すシーン(だと思う)で、五関さんが一人で乱れながら転がり舞うみたい演出があったのだけど、そこで、五関くんの持つダンスや表現に関する才能にスポットライトが存分に当たっていて大変素晴らしく、このシーンを用意したひともまた天才かと。

えび座においては5人全員が主役なんだろうけど、仮に主役がいるならぜったいに桂馬だろう、って思うくらいキーとなる役柄を五関さんが演じていたことは印象深い。

 

引きこもりでどこか変わっているけど一生懸命な役どころは塚ちゃんのキャラクターにとてもとてもマッチしていた。塚ちゃんの「まっすぐなエール」は何よりも心に響いた。桂馬に対して「将棋を続けてほしい」「自分が将棋を始めたきっかけは桂馬だから、桂馬には将棋を続ける責任がある」と一生懸命に伝える塚ちゃん。誠実に「好き」なものと向き合い、心の底から好きなものが続くよう願う姿はとても心を打たれた。

人工知能CATANAとの一戦を前にした桂馬に「アナログの力を見せてやれ」ってエールを送るところの塚ちゃんは、すごく人間くさくて胸が熱くなり、思わず泣いてしまった程。

この物語の大きなテーマとして、「人工知能などのデジタルデバイスが発展する中で人間は何ができるんだろう、でも人間だって素晴らしいはずだよね」みたいなものがあるように思ったんだけども、そのテーマを一番、頭にも心にもちゃーんと伝えてくれたのが塚ちゃんの「人間くささ」だったように思う。

 

あとは五関様も塚ちゃんも声が通るところが素晴らしい。塚ちゃんが誰にも負けない声量で圧倒的だった(そしてそれが役柄にもマッチしていたので相乗効果でよかったのだけど)のはもちろん、五関様も声がよく通るのは意外だった。最初は後ろ向きな気持ちの演技のため落としていたと思われるボリュームが後半、桂馬の気持ちの移り変わりととも上がってきたときには、胸が高鳴った。 

(余談だけど、舞台においては、演技力なんかも必要なんだろうけど、一番大事なのは「声が通る」かどうかじゃないかと素人的にはたまに思う。だっていくら素晴らしい演技をしていても何て言ってるかわからなければ伝わらないんだもん。)

 

(2)楽曲がいい。 

今回のために作られたとの楽曲も劇の各場面を象徴する楽曲でありながら、劇を彩り、本当にスタイリッシュ。しかしただ、「劇の場面に合った曲」「良い曲」というわけでなく、ちゃんとどこかに「アイドルらしさがある曲」になっている。

「アイドルらしさ」というとわかりにくいけど、いわゆるジャニオタが好きな曲。ダンスが合う。なんか思わずペンライト振りたくなるアイドルチューン。

「人の心はマスマティック?」、「Delicious」などは本当に楽曲として単純に素晴らしくて思わず元々のえびの楽曲としてちゃんと作られた曲?と思わずにはいられないほど。え、これ、サントラ発売しないんですか???劇中だけで終わるのもったいなさすぎーーーー。

 

(3)最高のバランス感 

脚本と音楽の素晴らしさ、それがただ単体で素晴らしいだけじゃなく完全に「A.B.C-Zというアイドル」のために用意された素晴らしい脚本と音楽であることがひしひしと伝わり、「ちょーーーーーーたのしい!」という気持ちとともに、「えびとえび担が羨ましすぎる」という感情が輻輳する状況に陥った。

これほんと、えびずるいよ…西寺さん、自担にも書いてもらえませんかね…

 

このあたりのバランス感は本当に何度でも言いたい。私たちジャニオタは「ジャニーズの舞台」を観に行くとき、ただ舞台の面白さを求めていくわけではない。しかし自担が出ているからと言ってなんでもいいわけではない。このあたりの複雑な気持ちを綺麗に解いてどっちも満たしてくれるのがこの舞台だと思った。

「ジャニーズの舞台」は、私の中では典型的に、ど派手な演出を使い、ストーリーはややトンチキ。そしてたまに脱いだりする。みたいなイメージ。(好きな人もいると思うし、それの良さを十分にわかっていない私が未熟なんだろうけど)自担が出ているから行くけど、、、って感じ。ジャニーさんごめんなさい。

それをこのえび座は、「ジャニーズにしかできない舞台」でありながら、しっかりと舞台そのものとしても面白く作られている。こんなのを待ってた。待ってた。こんな舞台があるなら何度だって観たい。これこそジャニーズエンターテイメントだ。

 

 パンフレットを買って帰ると、郷太さんはパンフレットの中で、「A.B.C-Zをはじめ、ジャニーズのメンバーほど“応援される”ということに人生を捧げ、誠意を持ち続けている集団はないんじゃないか、ってあらためて痛感しました。」と語っている。この一文が、すごくすごく大好きだと思った。

この舞台が素晴らしく、そして楽しいのは、きっと郷太さんの音楽的なセンスもさることながら(そこはわざわざ私が評価するところではないと思うけれど)、メンバーたち、ひいてはアイドルへの愛情と敬意がベースになっているからではないかと思った。そして、それに(それだけじゃなく観客に対しても)誠意をもって、応えるアイドルたちがいるからではないかと。

キャラクターを見極め、それを引き出すステージの土台をつくる。ただ素晴らしい脚本や音楽はほかにあるかもしれない。ただ、こんなにもアイドルがキラキラ輝くステージはなかなかない。本当に本当に楽しかった。

 

(4)心残り

欲を言えば、本当に欲張り言えば。

もう少し「株式会社応援屋」がどんなビジネスでどんなふうに利益を出しているかを説明してくれてもよかったなーと思うのと、桂馬がCATANAと戦うところは、感情面だけじゃなくて戦略的なところに関する説明もあればよかったなーと思った。むしろ良いストーリーだったからこそそこが逆に気になってしまったのかもしれないけど。

 

(5)五関様

本編とともにショータイムを通して、私の目線は五関様に釘付けだった。とにかくダンスが綺麗。もっと五関くんががっつり踊るところずっとずっと見てたいという気持ちになったことをここに報告します。。(誰に)